その昔名古屋で暮らしていた頃に
熱帯魚を色々と飼っていて
寒い季節の休日には暇つぶしに
水族館よろしく熱帯魚屋で魚を見るのが
楽しみのひとつでもあった
金魚や熱帯魚などを飼う水槽には
コケのような汚れが付着するので
マメな掃除が必要になるのだけれど
水槽に付いたコケを食べる種の魚もいて
ある時、名前は忘れてしまったが
お掃除お願いね!とその魚を飼うことにし
呼び名は
“ゆうぞう”にした
何故ゆうぞうだったのか
それも忘れてしまったけれど
一昨日のこと
釣りに出掛けた夫があっという間に戻って来て
そういう時は何か大物が釣れた時なので
また鯛祭りの始まり⁈と
心の中でほくそ笑みながらも
もう帰って来たのかよ...と
素知らぬ顔をしていたら
「こんなんが釣れたんや〜!」
といつにもまして興奮している
帰宅途中にすれ違った犬の散歩中のご婦人も
夫がぶら下げていた袋の中身↑に
興味津々で
「それ、なに⁉︎ 何が釣れたん?」
とたずねてきたらしい
釣り上げるにもひと苦労しようやく釣り上げた時
一瞬サメだと思ったらしいが
実はカサゴ目コチ科のマゴチだったそうで
美味らしいので急ぎ持ち帰ったというわけだ
このマゴチの姿形が
あまりにも“ゆうぞう”にそっくりなのだ
名古屋を離れる時
まさかゆうぞうと仲間たちを連れて行く
わけにもいかないので
熱帯魚屋に引き取ってもらったのだけれど
もしかして
飼い主恋しや、と水槽から飛び出し
川から海へと冒険の旅に出たゆうぞうが
二十年近くをかけ錦江湾へ
辿り着き夫に釣られたのではなかろうか
イヤイヤ、それは
およげ!たいやきくん
やないの
しかもゆうぞうはマゴチではないぞ
というわけで
そのゆうぞうではなかったマゴチに対して
感傷に浸る必要もなく
夫に捌かれ私に半身を唐揚げにされて
昨夜のおかずになり
今宵はソテーにでもしようかと考えている
命をいただいていることに感謝して
海からの恵みを美味しく食べ尽くそう