その昔
義父が生のらっきょうに味噌をつけて
焼酎のあてにボリボリ食べていた
当時まだ若く、酒飲みのいない家庭で育った嫁は
焼酎とらっきょうの臭いが相まった中
アルコールのせいで饒舌になり
くどくどと話続ける義父に
愛想良く真面目に相槌を打つのが嫌で嫌で
目で義母や夫に助けを求めるのだけれど
ふたりは素知らぬ顔で食事を続け
多分、大人しい嫁さん来てくれてラッキー
くらいに思っていたのだろう
らっきょうの季節になるとそんな事を思い出す
そもそも、甘酢漬けらっきょうですら
好きではなかったから
カレーライスに添えられていても
ほとんど手をつけなかった
そんならっきょうを
漬けてみようかしら...
などと考えるようになったのは
手間のかかることをイラつかずにやれる
落ち着いた大人になったということか
それとも
“コレステロール値を下げる”効果がある
という文言にすがる思いなのか
60歳にして初めての“らっきょう仕事”は
もっと手間のかかる作業かと思いきや
意外に簡単だった
人生の後半になってからせっせとやり始めた
梅仕事よりも手間がかからない
らっきょうの栄養素と効能を読むかぎり
素晴らしい食材のようだけれど
ビタミンやミネラルを効率良く摂取するには
義父のように生を食べるのが良いらしい
けれど、辛そうで絶対無理だ
甘酢漬けにしたら栄養分が溶け出てしまうので
甘酢も調味料として活用すれば良いのだとか
ウン!それなら出来る
と、甘酢漬けを仕込んでみた
適当なサイズの保存瓶は...
とキッチンを見回してみたら
コーヒー豆を入れている瓶があったので
コーヒー豆御一行様には出て行っていただき
洗って熱湯消毒後、らっきょう御一行様に
快適な環境をご提供
コーヒー豆はジッパー付きの専用袋なので
むしろ保存瓶に入れておく必要も
なかったからね